二次元の世界の女の子に想いを寄せるスパイ学校のへたれ教師

こんはんは。ハテミです。
島耕作って大町久美子との「結婚を前提としない真面目なお付き合い」を解消したんですね。
島耕作の還暦祝いだった薔薇風呂表紙は興奮しましたが、結婚は至って普通のめでたい表紙ですな。
(モーニングの表紙の話です。)

さて、「夢売るふたり」みてきました。
フォントがかわいい。

■あらすじ■
「ゆれる」「ディア・ドクター」の西川美和監督がオリジナル脚本で描く長編第4作。料理人の貫也と妻の里子は東京の片隅で小料理屋を営んでいたが、調理場からの失火が原因で店が全焼。すべてを失ってしまう。絶望して酒びたりの日々を送っていた貴也はある日、店の常連客だった玲子と再会。酔った勢いで一夜をともにする。そのことを知った里子は、夫を女たちの心の隙に忍び込ませて金を騙し取る結婚詐欺を思いつき、店の再開資金を得るため、夫婦は共謀して詐欺を働く。しかし嘘で塗り固められた2人は、次第に歯車が狂い始めていき……。主演は「告白」の松たか子と「なくもんか」の阿部サダヲ
(以上、映画.com)

今作で初めて女性を主役にした西川美和監督。

真面目な奥さん・里子(松たか子)とちょっとダメな旦那さん・貫也(阿部サダヲ)の夫婦が、人生の再起をかけてそっちじゃダメーという方向に真剣にぐいぐい進んでいきます。

前半では見栄をはったり、すぐバレるような嘘をついたり、辛い事があるとすぐお酒に頼り、たくましい奥さんにすぐ頼る貫也(阿部サダヲ)の人間らしい姿が強く描かれています。

そんな貫也をしっかりサポートする気立てのいい里子の裏側が見えるのが中盤から。

旦那さんの夢を叶えるためなら手段の善悪なんて後回し。
賢明に働く姿が健気で太宰治の「ヴィヨンの妻」とかぶりました。(そういえばこれも映画化された時の主人公松たか子でしたな。観てないけど。)

「旦那さんを支える妻」の仮面が何度も取れそうになるのをこらえる松たか子のお芝居がすごいっす。
とれた時の迫力は言うまでもなくすごいです。
台詞がなく演技だけの場面では、言葉があるよりも痛切に里子の気持ちが伝わってきます。

こういった描写は女性の監督だからこそ書けたんじゃないかなと思いました。
シナリオの事はまったくわかりまけんけど。なんとなく。

常に里子が舵をとる夫婦ですが、貫也の胸に顔をうずめ抱きついて眠る場面は泣けました。
愛おしくて離れたくなくて一緒に夢に向かいたくてなんて想いがじわーっと伝わってきました。

あとアコースティックギターの優しい音楽が衝撃的で暴力的な描写を和らげ、すっと日常に戻してくれていたと思います。

全体的に過去の作品に比べるとちょっとわかりずらいかも。

私が女な故、女性目線の感想になりましたが本当に面白い映画でした。