幻覚より奇なり

こんばんはてみ。

ふがいない僕は空をみた」を観てきました。

■解説■
赤い文化住宅の初子」「百万円と苦虫女」のタナダユキ監督が、「俺たちに明日はないッス」以来4年ぶりに長編作品のメガホンを取り、第24回山本周五郎賞に輝いた窪美澄の同名小説を映画化したドラマ。助産院を営む母に女手ひとつで育てられた高校生の卓巳は、友人に連れられて行ったイベントで、アニメ好きの主婦・里美と出会う。それ以来、卓巳と里美はアニメのコスプレをして情事を重ねるように。そんなある日、同級生の七菜から告白された卓巳は、里美と別れることを決心するが……。主演に永山絢斗田畑智子。脚本を「リンダリンダリンダ」「俺たちに明日はないッス」の向井康介が担当。
(以上、映画.comより)

第37回トロント国際映画祭に出品されたタナダユキ監督の作品。

幸も不幸も背中合わせというか、人生に試練はつきものというか。
思春期って残酷というか。(リリーシュシュほど生々しくはありません。)
登場人物1人ひとりがいろんな問題をもち、その問題を乗り越えようと葛藤する人間ドラマ。

話題となった過激な性描写は淫靡な感じはなく、ananの恒例企画セックス特集を見ているような女性らしい描写でした。

どの登場人物も一癖ありますが、銀粉蝶様扮するあんずの義母役はキャラがたってて強烈でした。あの執着心は憧れすら感じます。

不遇な境遇で苦労が絶えないのが卓己の友人の福田君。
男にだらしのない母と痴呆症の祖母をかかえ新聞配達とコンビニバイトに励む日々。
お金がなくてご飯も食べれず、借金取りから電話はかかってくるし、自分の境遇を恨みつつも誰にも当たることが出来ない。
グレもせず懸命にもがく姿が切ない。
結局同じ団地に住む女の子と一緒になって卓己の情事を重ねる姿のコピーを撒き散らしてましたが、そうしたくもなるでしょう。

最近本屋で道端ジェシカ様の本を見かけましたが帯にこんなメッセージが。
「人はみな幸せになるようにできているんです」
ジェシカ様、福田君にそう言ってあげてください。

なんといっても原田美枝子様演じる卓己のお母さんがとても素敵です。
暖かくとても気丈な人。
何があっても生きていればいいとゆー小さな事を気にしない骨太な性格が素敵。

状況は変わらずとも少しづつ前を見て歩み出すラストには本物の出産シーンが流れます。

映画を見終わった後、なんとなく勇気づけられました。